バレエ音楽とオーケストラ音楽の違い

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前回は、バレエダンサーの視点で、
音楽について書きましたが、
今回は、ボストンバレエオーケストラの
元アシスタント指揮者と、
プリンシパルクラリネット奏者の
記事を元に、
音楽家の視点で、
バレエ音楽について
考えてみたいと思います


バレエ団と指揮者


ボストンバレエには、
バレエ指揮者が
存在するそうです


これは、ヨーロッパでは、
とても稀な例で、
ヨーロッパのほとんどの
劇場では、
オーケストラの指揮者が、
交響曲も、バレエも、
オペラも指揮します


ベテランの指揮者は、
それぞれの振り方を
知っていますが、
たとえ、有名な指揮者を、
ゲストで呼んだとしても、
その人が、バレエの指揮の
経験がなければ、
ダンサーにとっては、
とんでもないテンポで指揮を
されたりします


例えば、
バレエの発表会用に
音源を探している時など、
CDを視聴してみたら、
踊れないテンポのCDに
出会うことがよくありますよね



現に、ルーマニアで、
アイーダの初演をした時は、
初めてのリハーサルで、
バレエの部分を超高速で
演奏されたので、
振付家と共に、
遅くしてほしいと、
ゲスト指揮者に
お願いしにいったら、


「僕は、楽譜に書かれていることを
無視して、作曲家の意思に背いて
指揮することはできない。」


と、あっさり、
却下されてしまいました



余談ですが、
ヨーロッパの
小さな劇場では、
(大きな劇場もそうなのかな?)
だいたい、
オーケストラや
オペラの人達の方が、
バレエより地位が高いので、
こういうことも、
多々起こります


バレエ音楽とオーケストラ音楽の違い


さて、本題に戻りますが、
では、バレエ音楽と、
オーケストラ音楽の違いとは、
一体何なのでしょう?


ボストンバレエオーケストラの
プリンシパルクラリネット奏者の、
Alexis Lanzは、こういっています

"One of the virtues of having a live orchestra playing for the ballet, as opposed to using a recorded track, is the ability of the orchestra to respond and adjust to the phrasing and timing of the dancers. This means that a ballet orchestra has to be extremely flexible with tempo and rubato in a way that you don’t typically find in a symphony orchestra.

Often the timing of certain passages will vary from performance to performance, and you can’t anticipate that solely from musical cues, so it becomes necessary to be more attentive to and reliant on the conductor. At our rehearsals, Jonathan [McPhee, BBO music director] will highlight specific passages that have a wider range of tempi. This helps prepare the orchestra to be flexible, but of course you can’t know exactly how it will feel until the moment of the performance."


(要約)
「生オーケストラの長所は、
録音された音楽と違って、
ダンサーのフレーズや
タイミングに、
オーケストラが、
柔軟に合わせることが
できるという点です。
ということは、
バレエオーケストラは、
普通の交響曲には
ないような、
自由なテンポに、
とても順応で
なければいけない
ということです。

曲のある節のタイミングが
パフォーマンスごとに
違うことがよくあり、
楽譜の指示からだけでは、
予想することができないので、
より、指揮者の指示に注意を払い、
彼の指示に頼る必要があります。
私たちのリハーサルでは、
Jonathanは、
(ボストンバレエ
オーケストラ音楽監督)
テンポが大きく変わる
可能性がある箇所を
ハイライトします。
これは、オーケストラが、
柔軟に対応できる助けに
なりますが、もちろん、
パフォーマンスのその瞬間までは、
どのように感じるかをいうことを
正確に知ることはできません。」



また、ボストンバレエオーケストラの
元アシスタント指揮者、
Geneviève Leclairは、
バレエ指揮者について
こう語っています

"[B]allet is one of the media in which it’s very hard to find a substitute conductor. If you’re doing a symphony concert playing Beethoven Five, and you get sick, just about any conductor in town will be able to come and do it. In the case of ballet, you have to know the choreography, the dancers, and what the ballet masters are expecting. When a ballet conductor gets sick, it’s hard to get a conductor to fill in if they haven’t done that particular production because there’s a lot of information that’s not written in the score."

(要約)
「バレエというのは、
代役の指揮者を見つけるのが
非常に難しい媒体の一つです。
もし、ベートーヴェン交響曲第5番を
(補足:「運命」、有名なジャジャジャジャーンの曲)
コンサートで演奏するなら、
例え指揮者が風邪をひいても、
その町にいるどの指揮者でも
急遽、代わりに振ることが
できるでしょう。


バレエの場合、
指揮者は、振り付け、ダンサー、
そして、バレエマスターが、
何を求めているかを
知っていなければなりません。

バレエ指揮者が、
風邪をひいてしまった時、
もし彼らが、過去に
この演目を上演したことが
なかったなら、
代わりを務めることができる
指揮者を見つけることは
難しいでしょう。
なぜなら、
スコアに書かれていない
たくさんのインフォメーションを
知っていなければ
ならないからです。」


"I spend about 30 hours a week in the studio during the season [from August to the end of June], conducting the piano and getting to know the dancers, the choreography, and the wishes of the ballet masters. Because of the time I’ve spent in the studio, I have quicker reaction time now than I did three years ago and can make more subtle adjustments in the music. By balancing the requirements of the choreography and the music, I can help foster a dialogue between the dancers and me. This dialogue creates unity in the performance."

(要約)
「私は、シーズン中、
[8月から6月の終わりまで] 
ピアノを指揮したり、
ダンサー、振り付け、
バレエマスターの意図を
知るために、
週に30時間ほど
スタジオで過ごしました。

その時間のおかげで、
今、私は、
3年前より、
より迅速な反応が
できるようになり、
また、その音楽において、
より微妙な調節が
できるようになりました。

振り付けと音楽の
両者の必要な条件を、
調和させることによって、
ダンサーと私の間の
対話の促進を
助けることが
できるようになりました。

この対話は、
パフォーマンスで
団結を生み出します。」


ダンサーを支えるバレエ指揮者


「どのようにして、
個々のダンサーを
パフォーマンス中に
支えるのですか?」
という質問に対する,
Geneviève Leclair
の回答の一部がコチラ

"When the performers are completely engaged, I can help bring out the quality the dancer is trying to express. With Aurora, for example, the ballerina may be trying to portray someone who is more fragile, or someone who is growing into an adult. All of these things are in the music. Depending on the dancer, it may mean that tonight I’ll be a little crisper on the articulation to bring out more energy; maybe another night I’ll bring out the dynamic changes a little more.

Every dancer has a unique physicality, way of moving, and artistic process. If you are open to it, working with different dancers allows you to see aspects of the performance under a constantly changing light."

(要約)
「パフォーマー達が
完全に踊りに
没頭しているとき、
私は、そのダンサー達が
表現しようとしているクオリティを
引き出す助けをすることができます。
例えば、オーロラ姫なら、
バレリーナは、
より繊細な人物、
または、大人に成長していく
お姫様を演じようと
しているかもしれないですよね。
これらの要素すべては、
音楽の中に含まれています。
ですから、その日のダンサーによって、
今夜は、よりきびきびとした演奏をして、
もっとエネルギーを与えようとしてみたり、
また他の日は、
もっと抑揚をつけてみたり
するかもしれません。

1人1人のダンサーは、
個々に違う、
身体性、動き方、
そして、芸術性を持っています。
もし、あなたがそれを受け入るなら、
様々なダンサーと
仕事をすることによって、
常に違った輝きを持った
パフォーマンスの姿を
見ることができます。」

最後に


この2人のコメントから、
私たちダンサーが学べることも
多いのではないでしょうか?

観客を魅了する
超絶テクニックも
見物ですが、
あくまでも、
バレエは芸術なので、
音楽と対話をしながら、
表現することが、
ダンサーの真の喜びですよね


この2人のインタビュー記事には、
このほかにも、
たくさんの素晴らしい内容が
書かれています

英語の記事ですが、
是非読んでみて下さいね

Making music for dancers: an interview with Alexis Lanz
https://criticaldance.org/making-music-for-dancers-an-interview-with-alexis-lanz/

On Entering the World of Ballet Conducting:
An Interview with Geneviève Leclair

https://criticaldance.org/on-entering-the-world-of-ballet-conducting-an-interview-with-genevieve-leclair/




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